「玄関まわりのタイルが色あせてきた」「汚れが目立つけれど、タイルは塗装できるの?」というご相談をいただくことがあります。戸建てでは、タイルは外壁全体よりも、玄関まわりに使われることが多く、毎日目にする場所なので気になりますよね。今回は、大阪市鶴見区の渡邊塗装が、塗料メーカーの資料をもとに、磁器タイルの塗装についてお伝えします。
■1. まず、タイルは「塗らなくていい外壁材」です
タイルは、土や石などの原料を高温で焼き固めたもので、硬くて水を吸いにくい素材です。メーカーの資料では、磁器タイルの吸水率は1.0%以下で、ほとんど水を吸わないとされています。本来は塗装を前提としていないため、最初に考えたいのは「本当に塗る必要があるのか」という点です。
タイルで傷みやすいのは、タイルそのものよりも、タイルの間の目地や、タイルを支える下地です。目地のひび割れ、タイルの浮きや割れが、主な点検ポイントになります。目地から水が入ると傷みが進むことがあるため、特に目地の状態はしっかり見ます。
■2. 磁器タイルに塗装はできる?
できます。ただし、普通の外壁と同じ塗り方ではできません。表面がツルツルで水を吸わないため、塗料がつきにくい素材だからです。そこで、塗料メーカーが「陶磁器タイル用」の塗装工法を用意しています。
たとえば日本ペイントの「ファイングラシィSiクリヤー」は、釉薬のあるなしにかかわらず磁器タイルに使え、戸建住宅やマンションの外壁が対象です。タイルとタイルの目地を、炭酸ガスや酸性雨、凍害などから守る塗装工法とされています。透明のクリヤーでタイルの質感を残して仕上げるのが基本で、色をつける仕上げもあります。
■3. 玄関まわりで特に注意したいこと
玄関まわりには、壁や柱のタイルのほかに、ポーチの床にもタイルが使われていることが多くあります。
・壁や柱のタイル:塗装できる場合があります。
・床のタイル:日本ペイントの製品情報では、陶磁器タイル用の塗装工法は、外壁には適用でき、床は不可とされています。歩く場所は、塗らないのが基本です。
・手で触れる場所:鈴鹿ファインのマニュアルでは、ブラシでこすったり、手で触ったりする場所には塗装しないよう、注意書きがあります。
■4. 塗れないタイルもあります
塗れるかどうかは、タイルの種類や、メーカーの製品によって条件が違います。
・鈴鹿ファインのマニュアルでは、ラスタータイル(光沢のある特殊な釉薬のタイル)には塗装できないとされています。無釉のせっ器タイルは塗装できない場合があり、すでにクリヤー塗装がされているタイルにも、塗装できないことがあると書かれています。
・日本ペイントの製品は、釉薬のあるなしにかかわらず、磁器タイルに塗装できるとされています。
塗装できるかどうかの目安として、油性の黒マジックで線を書き、きれいに消えるかを確認する方法も、メーカーのマニュアルで紹介されています。ただし、条件は製品で違いますので、ご自身で判断せず、現地で確認させてください。
■5. 塗る前に、必ず確認したいこと
タイルの浮きや剥がれ:塗装では直りません。浮いたタイルの上から塗っても、あとで落ちるおそれがあります。タイルを軽くたたいて音を聞く「打診」で確認し、浮きがあれば先に補修します。補修には、タイルの裏にエポキシ樹脂を注入して固定する方法や、タイルを部分的に張り替える方法があります(公共建築改修工事標準仕様書に基づく工法)。
目地の劣化状況:ひび割れや痩せの状況を見て、塗装するかどうかを判断します。目地から水が入ると傷みが進むことがあるため、劣化がよほどひどい場合は、先に目地を補修してから、塗装工事に入ります。
カビや藻:すでに繁殖している場合は、除去や殺菌の下処理をしてから塗装するよう、日本ペイントも注意書きに記しています。
■6. 塗装の前に知っておいていただきたいこと
タイルは、そのままなら塗膜のメンテナンスが必要ありません。塗装をすると、塗膜が将来、傷んだり、はがれたりする可能性があり、塗り替えの手間と費用がかかります。汚れだけが気になる場合は、洗浄だけで済むこともあります。「塗る」「塗らない」「洗うだけ」のどれがよいかは、タイルの状態を見て決めたいと考えています。
■7. 渡邊塗装の考え方
渡邊塗装では、玄関まわりのタイルのご相談をいただいたときも、まず「塗る必要があるのか」から確認します。タイルの種類、壁か床か、浮きや割れ、目地の劣化状況を見て、塗装をする場合、しない場合、部分的に補修をする場合を、お客様と一緒に考えます。目地の劣化がひどい場合は、目地を補修してから塗装します。塗らないほうがよいと判断した場合は、正直にお伝えします。
■まとめ
磁器タイルは、塗装できる場合もあれば、塗装できない場合もあり、塗らないほうがよい場合もあります。大切なのは、タイルの種類と、今の状態を正しく見極めることです。
「玄関のタイルは塗れるの?」「浮いている気がする」「目地が気になる」など、どんなことでもご相談ください。施工を担当するのが誰かも、契約の前にお伝えします。職人直通ダイヤルまたはLINEから、お気軽にご相談ください。
参考にした資料
・日本ペイント「ファイングラシィSiクリヤーⅡ」製品情報(nipponpaint.co.jp/products/building/138/)
・日本ペイント「公共建築改修工事標準仕様書対応 製品塗装仕様書」
・鈴鹿ファイン「超低汚染磁器タイル用塗料 塗装マニュアル」(No.852-1)







