空き家と外壁塗装

2026.10.27


しばらく人が住んでいない家に入ると、むわっとした湿っぽい空気や、カビのようなにおいを感じたことはありませんか。「外壁が古くなったから?塗り替えれば直る?」というご相談をいただくことがあります。今日は、空き家が湿っぽくなる理由と、外壁塗装で室内の湿気は変わるのかを、調べたことをもとにお話しします。

■空き家が湿っぽくなる5つの理由

理由1:空気が動かない
人が住んでいると、窓の開け閉めやドアの出入りで、空気が自然に入れ替わります。空き家では換気がされず、湿気が部屋にこもります。空き家管理の専門家も、湿気・結露・カビが家を傷める大きな原因だと指摘しています。

理由2:水の流れが止まる
長い間水道を使わないと、排水管にたまっている水(封水)が蒸発して、下水のにおいが上がってきます。空き家の嫌なにおいの原因のひとつです。

理由3:床下の湿気や雨水に気づけない
床下の湿気は、地面から上がる水蒸気、雨水の入り込み、配管の水漏れなどで増えます。それが室内でカビ臭として感じられることがあります。人が住んでいれば早く気づく雨漏りも、空き家では見つけにくく、被害が広がる可能性があります。

理由4:温度差で結露し、カビが育つ
国土交通省の事業資料では、家が傷む原因として、腐朽菌(水分・温度30℃前後・木材・空気がそろうと育つ)、結露、カビが挙げられています。カビは、温度25〜30℃、湿度70%以上になると急に発生しやすくなるとされています。梅雨から夏は、この条件に近づきやすい時期です。

理由5:家の立地と基礎でも、湿気は変わります
同じ空き家でも、建っている場所と、家の足元の造りで、湿気の感じ方は大きく違います。
・敷地が周りより低い家は、雨水が流れ込んで水はけが悪くなり、床下が湿りやすくなります。地下水位が高い土地は、湿気が通常より多くなることもあります。
・昔、田んぼや沼、湿地だった土地を造成した場所も、土の改良が十分でないと、湿気が多くなる場合があります。
・北側は、日が当たらず乾きにくい面です。築4年の木造住宅の調査では、防湿処理をしていない床下で、北側の床束が、傷みが出る可能性のある含水率24%を示しました。
・基礎は、布基礎が地面の湿気を伝えやすく、ベタ基礎は伝えにくいとされています。床下の高さや、換気口の状態でも、床下の湿度は変わります。

■外壁塗装をすると、室内の湿気は変わる?
結論から言うと、「変わる部分」と「変わらない部分」があります。なお、「外壁塗装をしたら室内の湿度が何%下がった」と示した資料は、今回は見つかりませんでした。以下は、関連する研究から整理したものです。

【変わる可能性があるもの:雨水が壁に入っていた場合】
国土交通省の研究機関の試験では、劣化したサイディングの継ぎ目から雨水が入り、外装材や通気層が湿り、その水分が日射で壁の内側へ移って結露する可能性が示されています。日本の木造住宅でも、雨水の浸入で壁の中の湿度が高くなる仕組みが研究されています。つまり、ひび割れ、シーリングの割れ、塗膜の防水性の低下で壁が水を吸っている家なら、補修や塗装で「水が入る入口」をふさぐことが、壁や室内側のシミ・カビの予防につながります。

【変わらないもの:空気のこもり、床下の湿気、排水管のにおい、立地や基礎による湿気】
窓を閉め切った空気のこもり、地面から上がる床下の水蒸気、排水管のにおい、土地の低さや基礎の造りによる湿気は、外壁をいくら塗っても変わりません。ここは、換気・通水・床下の点検が必要です。

【注意したい点】
・塗れば壁が乾く、わけではありません。すでに壁が濡れている場合は、まず原因を確認することが先です。
・塗膜が湿気を通しにくいと、壁の中の湿気が逃げにくくなる場合がある、という海外の研究もあります。外断熱の薄塗り仕上げ壁の例で、日本の一般的なサイディング外壁とは条件が違いますが、塗料選びで「湿気の通りやすさ(透湿性)」を気にする理由のひとつです。

■大阪市で気をつけたいこと
大阪市は、市街地の9割までが平坦な低地で、自然排水が困難な、浸水しやすい地形とされています。そのため、基礎のまわりに雨水がたまりやすい家もあります。空き家では、側溝や雨水ますが落ち葉やごみでふさがっていても気づきにくいので、訪れたときに、家のまわりの水の流れも見てください。

■空き家で外壁塗装を考えるときの順番

  1. 室内の天井や壁にシミやカビ臭がないか、雨漏りを確認する
  2. 窓を開けて風を通す。収納の戸も開ける。水道を通す
  3. 床下や基礎まわりに、湿り、カビ、水たまりがないか確認する。家のまわりの側溝や雨水ますも見る
  4. 外壁・屋根・基礎のひび、シーリング、チョーキングを点検する
  5. 原因が外壁側や基礎の傷みにあれば、補修や塗装を検討する

1から3をせずに、いきなり塗ることはおすすめしません。湿気の原因が室内や床下、土地にあれば、外壁を塗っても、においやカビは変わらないからです。

■月1回の風通しが基本です
国土交通省も、空き家は傷まないよう通気や換気をと呼びかけています。月1回ほど家を訪れて、窓を開け、水道を少し流しましょう。ただし、換気だけでは結露対策として足りない場合がある、という専門家の指摘もあります。押し入れや戸棚も開けて、空気が通る道をつくることが大切です。塗装の工事中は窓を閉める日が増えるので、工事の前後に風を通しておくと安心です。

■基礎の塗装については、別の記事で
基礎の塗装は、塗料選びと、湿気への考え方に特別な注意が必要です。現場の経験も含めて、別の記事で詳しくお話しします。

■まずはご相談ください
「実家の空き家がカビ臭い」「外壁を塗れば湿気は直る?」といったご相談だけでも大丈夫です。気になるところを写真に撮って、LINEで送ってください。お急ぎの場合は、職人直通ダイヤルまでお電話ください。外壁の状態を見て、塗装が必要か、先に別の対策が必要かを、正直にお伝えします。

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