外壁の傷みは、ある日突然ひどくなるわけではありません。表面の小さなサインから始まり、順番に進んでいきます。今日は、その流れを時系列で整理して、「今すぐ塗るべきか」を一緒に考えます。年数は立地や塗料で大きく変わるので、あくまで目安です。
■ステージ1:色あせ・つやが引ける
紫外線で塗膜が少しずつ傷み、色が薄くなってつやがなくなります。塗膜の寿命が減り始めたサインですが、この段階で急ぐ必要はほとんどありません。
■ステージ2:チョーキング(白い粉)
壁を触ると白い粉がつく状態です。塗膜の樹脂が粉のようになって表れていて、防水性が下がり始めています。壁に水をかけて色が濃く変わるなら、水を吸い始めているサインです。塗り替えの検討を始める時期です。
■ステージ3:ヘアクラックとシーリングの割れ
髪の毛ほどの細いひびや、目地のゴム状の部分(シーリング)の割れです。雨水が壁に入る「入口」ができ始める段階です。
■ステージ4:塗膜のはがれ、サイディングの反り・浮き、釘の浮き
防水性が落ちたボードが水を吸って膨らみ、反ったり浮いたりします。反り・浮きは、塗装だけでは直らず、張り替えが必要になることもあります。
あわせて、壁の釘が浮いてくることがあります。釘が浮くのは、ボードが動いているサインです。主な原因として、次のようなことが考えられます。
・ボードが水を吸っては乾くことを繰り返し、伸び縮みや反りが出て、留めている釘に力がかかり続ける。
・シーリングが劣化して水が入りやすくなり、釘のまわりの傷みも進む。
・暑さ寒さで、ボードや下地が長年伸び縮みする。
釘が浮いた部分は、雨水が入る入口にもなります。ひとつ見つけたら、ほかの場所も見てみましょう。
■ステージ5:壁の内側に水分がたまる
ここから先は、外から見えません。国土交通省の研究機関(国土技術政策総合研究所)の試験では、健全なサイディングは風速30m/sの強風でも継ぎ目から雨水が入りませんでした。しかし、実際に約7年使われたサイディングでは、継ぎ目の部材の劣化や反りのせいで、風速10m/sの弱い風でも雨水の浸入が確認されました。
浸入した水で外装材や通気層が湿り、日射で温められると、水分が壁の内側へ移動して結露する可能性があるとされています。
壁の中では、次のことが起こり得ます。
・木材の含水率が約28%以上になると、腐朽菌が木を分解し始めるとされています。乾いた木は分解されにくく、水分がたまることが条件です。
・腐った木は、シロアリの被害を受ける可能性が高くなります。
・壁の中の結露は、柱や間柱の腐れや、室内側の壁のカビにつながります。カビやダニが、ぜんそくや皮膚の症状のきっかけになる場合があるという研究報告もあります。
■誤解のないようにお伝えします
外壁が傷んでいても、必ず室内に湿気が入るわけではありません。上の試験は条件を決めて行ったものです。実際の家は、外壁材、通気の構造、施工の状態で大きく違います。大切なのは、いま自分の家が「どの段階か」を知ることです。
■【別枠】カビ・コケ・藻は「劣化」ではなく「乾かないサイン」です
カビやコケは、塗膜が古くなったから出るとは限りません。新しい家でも、日が当たらない、風が通らない、雨水がはねる、植木が近いといった「壁が乾きにくい環境」で出ます。汚れやホコリがたまった面にも生えやすくなります。
また、外壁に生えたカビやコケそのものが、壁の中の腐れに直結するわけではありません。木を腐らせる菌とカビは別の種類です。ただ、カビや藻が増えると、塗膜の保護機能が弱まるともいわれます。
ですから、カビ・コケだけなら、まず洗浄と、乾かない原因の確認が先です。塗装が最初の答えとは限りません。ただし、チョーキングやひび割れも一緒に出ている場合は、塗膜が水を防げなくなっている可能性があります。そのときは、塗り替えを検討する時期です。
■使っていない家・空き家の湿気について
人が住まなくなった家は、窓も開かず空気が止まり、湿気がこもって傷みが早く進みやすくなります。詳しくは、別の記事でお話しします。
■今すぐ塗る?もう一度考える
・ステージ1:急がず、年に1回、目で見て確認する。
・ステージ2:塗り替えの計画を立て始める。見積もりを取って比べておく。
・ステージ3:早めに点検する。ひびやシーリングの補修が先になる場合があります。
・ステージ4以降の疑い(反り、釘の浮き、室内の壁のシミ、壁紙の浮き、カビ臭、結露が増えた):塗る前に、水が入っている原因を確認する。塗装だけで解決しないこともあります。
・カビ・コケだけ:洗浄と、乾かない原因の確認。
■自分でできるチェック
壁を触る/水をかけて色を見る/北側の壁を見る/窓まわりのひびを見る/壁の釘が浮いていないか見る/室内の壁や天井のシミを見る。
■まずはご相談ください
「うちはどの段階?」というご相談だけでも大丈夫です。気になるところを写真に撮って、LINEで送ってください。お急ぎの場合は、職人直通ダイヤルまでお電話ください。







