仮設足場は「ただの仮設」ではありません
外壁塗装のお見積もりをするとき、「足場代って、けっこうするんですね」と言われることがあります。
たしかに「仮設足場」と聞くと、工事が終われば解体してなくなるものですから、「一時的なものなのに、なぜそんなに費用がかかるの?」と思われるのも無理はないと思います。
でも、塗装工事をする私たちからすると、足場は決して「ただ組んで、終わったら解体するだけのもの」ではありません。
職人が安全に作業するための土台であり、塗装の品質にも大きく関わる、とても重要なものです。
足場の安全基準も、昔とは変わっています
建設現場の安全に対する考え方は、以前よりも厳しくなっています。
足場についても、国が定める安全に関する基準やルールがあり、それに合わせた施工が求められています。
もちろん、安全のために必要なことです。
ただ、ここで少し難しいのが「国が定める足場の考え方を、そのまま戸建て住宅の現場に当てはめられるか」という問題です。
特に大阪市内の戸建て住宅では、隣の建物との間が1メートル以内というような、非常に狭い敷地も珍しくありません。
そうなると、敷地の条件によっては、一般的にイメージされるような足場を組むこと自体が難しくなります。
そのため、戸建て住宅では一側足場が使われることも多くあります。
一側足場は、狭い場所でも対応しやすいというメリットがあります。
一方で、どうしても本足場と比べると作業スペースに余裕がなく、昇降設備なども現場の状況によって制限されるため、職人にとっては作業性が悪くなる場合があります。
「安全」と「作業のしやすさ」は、どちらも大切
ここが、私が現場で感じているところです。
安全性を確保することは、もちろん最優先です。
ただ、安全を意識するあまり、実際に塗装する職人が非常に作業しにくい足場になってしまうと、今度は作業時間が長くなったり、職人の負担が大きくなったりします。
例えば、足場の部材が必要以上に入り組んでいると、塗装する場所に手が届きにくくなります。
本来ならスムーズに進められる作業でも、一つ一つ足場を避けながら作業することになれば、それだけ時間もかかります。
足場に合わせて職人が無理な姿勢で作業することになれば、疲労も増えます。
だから私は、
「安全であること」
そのうえで、
「塗装職人ができるだけ作業しやすいこと」
この2つのバランスが大切だと考えています。
もちろん、現場によって敷地の広さや建物の形状が違います。
すべての現場で理想通りの足場を組めるわけではありません。
だからこそ、その現場に合わせて「どうすれば安全を確保しながら、できるだけ作業しやすい足場にできるか」を考えることが大切だと思っています。
足場代は「足場そのもの」だけの金額ではありません
足場は、組み立てる人がいて、材料があり、運搬があり、組み立て・解体があります。
さらに、安全に作業するための設備や、現場ごとの条件に合わせた対応も必要になります。
ですから、単純に「足場代が高い、安い」という金額だけで判断するのは、少し難しい部分があります。
逆に、必要以上に複雑な足場になれば、それだけ組み立てにも時間がかかり、塗装する側の作業にも影響することがあります。
私としては、安全性を犠牲にしてまで簡単な足場にしてほしい、という考えではありません。
安全をしっかり確保したうえで、できるだけシンプルで、塗装職人が仕事をしやすい足場。
それが、結果的に工事全体をスムーズに進めることにつながると考えています。
これは、あくまで私の考えです
ここからは、少し現場の独り言として読んでください。
(これはあくまで渡邊の考えであり、すべての足場業者さんについて言っているものではありません。)
長く現場で仕事をしていると、「もう少しこうしてもらえたら、もっと仕事がしやすいのにな」と思うことがあります。
一度なら、現場の状況もあります。
二度、三度と同じことが続けば、「なぜ改善されないんだろう」と思うこともあります。
足場業者さんにも、それぞれ事情や考え方があると思います。
価格についても、各業者さんが利益を考えて仕事をするのは当然のことです。
私自身も仕事をしていますから、そこを否定するつもりはありません。
ただ、その価格で仕事を引き受けると決めた以上、その中でできる限り良い仕事をする。
私は、それもプロとして大切なことだと思っています。
そして、塗装する側から「ここをもう少しこうしてほしい」と伝えたときには、できる範囲で改善してもらえると、現場はもっとスムーズになります。
これは足場業者さんだけの話ではありません。
材料屋さんにも、現場に合った材料や提案を求めることがあります。
私たち塗装屋も、もちろん施工に責任を持たなければいけません。
現場は、それぞれ別の業者でも「一つのチーム」
外壁塗装は、塗装屋だけで完成する仕事ではありません。
足場屋さん、材料屋さん、そして私たち塗装職人。
それぞれ会社も違えば、仕事内容も違います。
でも、お客様の家を工事している間は、同じ一つの現場で仕事をしています。
だから私は、その現場に関わる人たちは「一つのチーム」だと思っています。
安全な足場がある。
現場に合った材料が用意されている。
そして、その環境の中で職人が適切な施工をする。
それぞれが自分の仕事だけをするのではなく、お互いが少しずつ相手の仕事のことを考える。
そうすることで、現場はもっとスムーズになります。
そして、その先にあるのが、お客様にとっての「安心」だと思っています。
私たちがお客様からいただいている工事費には、材料代や人件費だけではなく、こうした「安心して工事を任せられること」も含まれていると考えています。
だからこそ、私は足場屋さんにも、材料屋さんにも、それぞれの立場でプロとしての仕事を求めます。
もちろん、これはすべての足場業者さんや材料屋さんに対する話ではありません。
安全性と作業性の両方を考え、現場のことを理解して仕事をしてくださる職人さんもたくさんいます。
そうした方々とお互いに意見を出し合いながら、一つのチームとして良い現場をつくっていく。
それが結果的に、お客様にとって一番安心できる工事につながる。
私は、そう考えています。
仮設足場は、工事が終わればなくなります。
でも、その足場の上で職人が仕事をし、その仕事が何年もお客様の家に残ります。
だからこそ私は、「たかが仮設」ではなく、「大切な工事の一部」として足場を考えています。





