衣食住 商売を考える。

2026.10.29

誠実な商売とは何か。リンガーハットと5社の取り組みから、一人親方の私が考えたこと

世の中には、売上や利益を伸ばすことを第一に考える会社もあれば、お客様や取引先、社会との信頼関係を大切にしながら商売を続けている会社もあります。

もちろん、会社を経営する以上、利益は必要です。利益がなければ、品質を維持することも、従業員の生活を守ることも、事業を継続することもできません。

しかし、利益を上げることと、利益だけを優先することは同じではないと私は思います。

今回、私が注目したのは、長崎ちゃんぽんで知られる「リンガーハット」です。

リンガーハットをはじめ、企業理念を掲げるだけでなく、具体的な取り組みを行っている企業を調べてみました。

大企業と個人事業主では、事業の規模も、できることも違います。それでも、商売に対する姿勢には、私たち職人にも学べることがあるのではないでしょうか。

今回は、6社の企業理念と実際の取り組みを通じて、誠実な商売とは何かを考えてみたいと思います。

1.リンガーハット|食材へのこだわりを行動に移す

リンガーハットグループは、「すべてのお客さまに楽しい食事のひとときを心と技術でつくる」という使命を掲げています。

健康的で高品質な商品を手頃な価格で提供することや、お客様の声を聞いて改善することなどを、経営理念に示しています。

特に注目したいのが、野菜の国産化です。

リンガーハットは2009年10月から、全店舗で使用する野菜を100%国産化しました。これは、国産野菜を大切にするという考えを、実際の調達方法に反映させた取り組みです。

食材を安定して確保するには、生産者との関係づくりや調達体制の整備が必要です。簡単なことではありませんが、理念を掲げるだけでなく、仕組みを変えて実行してきた点は参考になります。

参考資料:
リンガーハット公式サイト「経営理念」「国産化の歩み」

https://www.ringerhut.co.jp/corporate/policy/

https://www.ringerhut.jp/quality/domestic-production_history/

2.石井食品|商品に使われた原材料の情報を公開する

石井食品は、「品質保証番号」「厳選素材」「無添加調理」を三大原則として掲げています。

同社の特徴の一つは、商品の原材料に関する情報を、お客様が確認できる仕組みを整えていることです。

2000年には全製品の原材料履歴を管理するトレーサビリティシステムを確立し、2001年にはウェブサイトで情報を公開する「OPEN ISHII」を開始しました。

商品に付けられた品質保証番号などから、原材料の履歴や検査結果、アレルギーに関する情報などを確認できる仕組みです。

「うちの商品だから信用してください」と言葉だけで求めるのではなく、お客様が判断するための情報を提供する。

この姿勢は、商売における透明性を考えるうえで参考になります。

なお、「無添加調理」は同社の製造工程における取り組みを指し、原材料のすべてが食品添加物不使用という意味ではありません。

参考資料:
石井食品公式サイト「三大原則」「OPEN ISHII」

https://www.ishiifood.co.jp/company/activity/principle/

https://www.ishiifood.co.jp/open-ishii/

3.カゴメ|取引先とともに改善を進める

カゴメは、野菜などの原材料を大切にし、持続可能な調達を目指す取り組みを進めています。

その中で注目したいのが、原材料の調達先や生産委託先などに対する取り組みです。

カゴメは、取引先へのセルフチェックや現地監査などを通じてリスクを評価し、課題の改善を支援する仕組みを進めてきました。

商売では、仕入れ価格を下げることが利益につながる場合があります。しかし、価格だけを追い求めれば、取引先の経営や品質維持に無理が生じる可能性もあります。

取引先を単なる仕入れ先として扱うのではなく、課題を共有し、一緒に改善していく。

長く商売を続けるためには、こうした関係づくりも大切なのではないでしょうか。

参考資料:
カゴメ公式サイト「環境・社会的に持続可能な責任ある調達」

https://www.kagome.co.jp/company/sustainability/sustainable-supply-chain/01/

4.良品計画(無印良品)|ものづくりの背景を見えるようにする

無印良品を展開する良品計画は、サプライチェーン全体の透明性を高める取り組みを行っています。

具体的には、生産パートナーのリストを公開しています。

2026年3月時点では、衣服・雑貨、生活雑貨、食品の主要な生産委託先工場などを公開対象としています。

商品がどこでつくられているのか。その背景を外部から確認できるようにすることは、企業とお客様の間の情報の隔たりを小さくする取り組みです。

もちろん、公開されている情報だけで、すべての製造工程や労働環境を確認できるわけではありません。

それでも、ものづくりの背景を公開し、透明性を高めようとする姿勢には意味があると感じます。

参考資料:
良品計画公式サイト「生産パートナーリスト」

https://www.ryohin-keikaku.jp/sustainability/supply-chain/partners/

5.パタゴニア|売って終わりではなく、長く使うことを大切にする

アウトドア用品などを展開するパタゴニアは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というミッションを掲げています。

同社は、製品を長く使うことを重視し、修理や中古品の販売などを行う「Worn Wear」という取り組みを進めています。

一般的には、新しい商品が売れるほど売上を伸ばしやすくなります。一方、修理して使い続けたり、中古品を活用したりすることは、新品への買い替えを減らす選択肢にもなります。

もちろん、修理や中古品の仕組みも事業の一部です。それでも、商品を売って終わりにせず、長く使うための選択肢を提供している点は特徴的です。

目先の販売だけではなく、商品を使う人や環境にとって何がよいのかを考える。この姿勢からも、商売のあり方について考えさせられます。

参考資料:
パタゴニア公式サイト「コアバリュー」「Worn Wear」

https://www.patagonia.jp/core-values/

https://www.patagonia.jp/worn-wear/

6.明治ホールディングス|健康と安心への期待に応える

明治グループは、「おいしさ・楽しさ」の世界を広げ、「健康・安心」への期待に応えることを使命として掲げています。

また、お客様の気持ちに寄り添い、日々の生活の充実に貢献することを目指しています。

企業理念だけでなく、第三者による評価も見てみました。

公益財団法人流通経済研究所が公表した「食品製造業のサステナビリティ取り組みランキング2025」では、調査対象124社のうち、明治ホールディングスが1位となりました。

これは、食品製造業のサステナビリティへの取り組みに関する調査結果です。

ただし、この順位だけで、あらゆる面において最も誠実な会社だと断定することはできません。調査で評価された項目と、企業の実際の活動全体は分けて考える必要があります。

企業自身が発信する理念だけでなく、第三者の調査や公開資料も判断材料にする。そうした視点が大切だと思います。

参考資料:
流通経済研究所「食品製造業のサステナビリティ取り組みランキング2025」

https://www.dei.or.jp/aboutdei/pdf/press/20251118_2.pdf

6社の取り組みから考える、誠実な商売の共通点

今回紹介した6社は、業種も規模も異なります。しかし、それぞれの取り組みから、共通する考え方が見えてきます。

・理念を言葉だけで終わらせず、具体的な行動に移していること。

・お客様や取引先が判断できるよう、必要な情報を公開していること。

・目先の利益だけでなく、品質や信頼、長く続く関係を大切にしていること。

・企業自身の発信だけでなく、第三者の調査や公開資料も判断材料になること。

もちろん、理念を掲げているからといって、すべての活動が理念どおりだとは限りません。企業にも課題はあり、改善を続けていく必要があります。

だからこそ、私たちが会社やお店を選ぶときも、「何を言っているか」だけでなく、「実際に何をしているか」を見ることが大切なのだと思います。

では、塗装工事に置き換えるとどうなるのか

ここからは、私たち渡邊塗装の仕事にも通じる話です。

外壁塗装を検討するとき、お客様が比較するのは、見積金額、使用する塗料、保証年数、会社の説明などではないでしょうか。

もちろん、どれも大切な判断材料です。

しかし、金額が安いから、保証年数が長いからという理由だけで、本当に良い工事かどうかを判断することは難しいと考えています。

大切なのは、その工事が本当に必要なのか、なぜその材料を選ぶのか、どのような工程で施工するのかを、きちんと説明できることです。

1.工事が必要な理由を説明する

塗装が必要な箇所と、現時点では急いで工事をしなくてもよい箇所を、建物の状態に応じて説明する。

必要性が十分に確認できない工事まで勧めるのではなく、お客様が判断できる材料を提供することが大切です。

2.材料と施工方法の選定理由を説明する

高価な塗料だからといって、必ずしもすべての建物に最適とは限りません。

外壁材の種類や劣化状態、既存塗膜との相性などを踏まえて、下塗り材や上塗り材、補修方法を選ぶ必要があります。

なぜその材料を使うのか。その理由を説明できることが、専門業者としての責任だと考えています。

3.工事中の状況を見えるようにする

塗装工事は、足場や養生に囲まれるため、お客様が作業の様子を直接確認しにくい工事です。

だからこそ、渡邊塗装では、施工中の写真をLINEでお送りし、日々の作業内容を確認していただけるようにしています。

お客様から見えないところで何をしているのか。それを確認できる形にすることも、信頼につながる取り組みの一つです。

4.保証年数だけでなく、保証の内容を明確にする

保証は、年数が長ければそれだけで十分というものではありません。

どの部分が対象なのか、どのような不具合が対象になるのか、どのような条件があるのか。

こうした内容が明確でなければ、保証年数だけでは適切に比較できません。

保証を掲げるのであれば、その内容についても説明できることが大切です。

一人の職人として、私が思うこと

私は、大手企業のような規模もなければ、多くの従業員を抱えているわけでもありません。

一人親方として、自分の手で仕事をする個人事業主です。

今回、さまざまな企業の理念や取り組みを調べてみて、業種や規模は違っても、商売に対する姿勢には学ぶべきことがあると感じました。

私自身、まだまだ努力していかなければならないことはたくさんあります。

だからこそ、価格や保証年数だけで比較されるのではなく、「渡邊塗装にお願いしたい」と選んでいただける職人でありたいと思っています。

そのために、お客様にとって本当に必要な工事を考え、専門家として自分の考えをきちんと伝え、一つひとつの仕事に誠実に向き合っていきたい。

会社の規模ではなく、仕事への姿勢や積み重ねてきた信頼で選んでいただけるよう、これからも努力していきます。

利益を確保することは、事業を続けるために必要です。しかし、利益だけを追い求めるのではなく、お客様にとって何が本当に必要なのかを考え続けることも、商売をするうえで大切だと思います。

誠実な商売とは、立派な言葉を掲げることだけではなく、日々の仕事の中で、その言葉に見合う行動を積み重ねていくことではないでしょうか。

大阪市鶴見区の職人直営店、渡邊塗装。

より良いご提案、一緒に考えましょう。

参考資料について

本記事は、各社の公式サイトおよび第三者機関が公表している資料を参考に作成しています。企業の理念や公表された取り組みを紹介するものであり、各社のすべての事業活動を評価・認定するものではありません。

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