外壁塗装のプロが解説】サイディングのコーキング、本当に必要な「厚み」とメーカー選びの裏側
「うちの外壁、そろそろコーキングが痩せてきた気がする……」
「見積もりにいろいろなコーキングの種類が書いてあるけど、何が違うの?」
お家のメンテナンスを考え始めたとき、こんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、サイディング外壁の寿命を大きく左右するのが**「コーキング(シーリング)の厚み」と「材料の硬さ・チョイス」**です。今回は、現場のプロが普段どんな基準でコーキングを見極めているのか、分かりやすく解説します!
1. コーキングの理想の厚みは「10mm」!なぜ厚さが大事なのか?
各コーキングメーカーが推奨している標準的なサイズは、**「幅10mm×厚み(深さ)10mm」**です。
サイディングボードは、夏の暑さや冬の寒さ、地震の揺れなどによって、日々伸び縮み(ムーブメント)を繰り返しています。
コーキングはこの動きに追従して家を守るクッションの役割を果たしていますが、厚みが薄すぎると(例えば5mm以下など)、その伸縮に耐えきれず、すぐに破断や剥離を起こしてしまいます。
築20年前後の「12mm厚サイディング」に潜む罠
現在主流となっているサイディングの厚みは15mmや16mmですが、2000年代前半頃までに建てられたお家の多くは**「厚み12mm」**のボードが使われています。
12mmの現場では、構造上どうしてもコーキングの厚みが5mm〜8mm程度しか確保できないケースが少なくありません。
「無理に厚くしようとすると下地にまで接着してしまい(三面接着)、かえって切れやすくなる」「ボード自体に反りが出ていても、無理に直すと割れてしまう」といった現場の制約があるため、雨漏りなどのトラブルがない限りは、現状のコンディションに合わせた高度な判断が求められます。
肉厚がどうしても薄くなってしまう現場では、**「ボンドブレーカー(テープ)でしっかり2面接着を死守しつつ、上から専用の塗料で保護してあげる」**ことが、長持ちさせるための大きなポイントになってきます。
2. 既存 vs 新品:「硬さの数値」でわかる劣化の真実
一般の方からすると「カチカチに硬いほうが丈夫で長持ちしそう!」と思われがちですが、実はシーリングの世界では真逆です。数値で見るとその違いがハッキリ分かります。
既存のコーキング(劣化した状態):JIS硬度 80〜90以上(カチカチのプラスチック化)
築20年経った古いシールは、紫外線を浴びて可塑剤が抜けきり、JIS A 5758の硬度換算で80〜90以上のレベルまで硬化し、もはやゴムではなく「プラスチック」のような状態になっています。指で押しても凹まず、最後にはパキッと割れて目地から剥離してしまいます。
打ち替え後の新品コーキング:JIS硬度 20〜30前後(しなやかな低モジュラス)
しっかり打ち替えた新品の変成シリコンなどは、硬化後もJIS硬度が20〜30程度の柔らかさをキープします。さらに「低モジュラス(引っ張られたときに低い力でしなやかに伸び縮みする性質)」を持っており、ボードの動きに追従して家をまもってくれます。
つまり、**「カチカチに硬い=寿命(劣化のサイン)」で、「ぐにゅっとしなやか=現役で仕事をしている状態」**ということなんです!
3. 主要メーカー・材料の特徴:プロはこう使い分けている!
現場では、ご予算や建物の傷み具合に合わせて最適な材料を選定しています。
サンライズ「SRシール S70」
特徴: 現場の職人からのファンも非常に多い、王道の変成シリコン系シーリング。
メリット: ゴム特有の反発力が強くない低モジュラスタイプで、ボードに余計な負担をかけません。また、上から塗る塗料を汚しにくい「ノンブリードタイプ」で、カラーバリエーションが300色以上と豊富なのも強みです。
サンライズ「NB50」
特徴: 塗装特化型として、肉痩せしにくく高い安心感を誇る材料です。現場の状況に合わせてS70と上手に使い分けています。
オートン化学工業「オートンイクシード」
特徴: 「超寿命」を売りにした、期待耐用年数約30年をうたうハイクオリティなウレタン系シーリング。
メリット: 次のメンテナンスサイクルを長くしたいというご家庭に選ばれる実力派。ただし、施工時にはメーカーの定めるプライマー選定や厚み基準を厳格に守る必要があります。
4. まとめ:見えない部分の「こだわり」が家を長持ちさせる
コーキング工事は、ただ上から新しいゴムを詰めればいいというものではありません。
「プライマーをケチらず、夏冬問わずしっかり乾燥時間を取る」「薄くなってしまう現場なら、上からの塗装でいかに保護してあげるか」といった、職人の細かな気配りと経験値が、そのままお家の寿命に直結します。
「うちのコーキング、カチカチに硬くなってひび割れてきたかも……」と思ったら、厚みや工法までしっかり考えてくれる信頼できるプロに一度診断してもらうのがおすすめですよ!



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