ブログ記事案:「塗れる屋根・塗れない屋根」徹底解説(完全版)
1. はじめに:屋根塗装、「どこでも塗れる」と思っていませんか?
「そろそろ築15年だから屋根塗装をしよう」とお見積もりを取られた際、業者から「お宅の屋根は塗装できません(カバー工法か葺き替え工事が必要です)」と言われて、驚かれたご経験はないでしょうか。
実は、日本の住宅の歴史において、「一見すると塗れそうに見えても、そのまま塗装すると大トラブルに繋がる屋根材」が存在します。今回は、そうした塗装が難しい屋根たちについて、国の法律や時代の背景も含めて分かりやすく解説いたします。
2. なぜ「塗れない屋根」が生まれたのか?
このようなトラブルを抱えた屋根が生まれた背景には、ズバリ「国の法律(アスベスト規制)」が深く関わっています。
1989年(平成元年)〜 規制の強化スタート
健康被害を防ぐため、国がアスベスト(石綿)の使用を段階的に制限し始めた時期です。
1995年〜2000年代初頭(暗黒のノンアスベスト移行期)
メーカー各社は「脱アスベスト」を急ぐあまり、強度不足の新しい材料を次々と市場に投入しました。これが後に「塗れない屋根のオンパレード」を引き起こす原因となってしまいました。
2006年(平成18年)
アスベストの完全使用禁止(含有量が0.1%を超えるものの製造等が禁止)となりました。
このバタバタとした移行期に生まれた、絶対に見逃してはならない「塗れない屋根の代表例」をご紹介します。
3. 徹底網羅!「塗れない・塗装厳禁」な代表的屋根材リスト
① パミール(ニチハ)
時期の目安: 1996年〜2008年頃
状態・理由:【完全塗装NG・非常にリスクの高い屋根】
特徴: パイ生地のように何層にも剥がれる「層間剥離(そうかんはくり)」が起き、一番上の層ごとペリッと崩壊してしまいます。塗料を塗る以前の問題となるため、発見した場合はカバー工法か葺き替え工事が必須となります。
② コロニアルNEO / グリシェイドNEO(KMEW / 旧・クボタ・パナソニック系)
時期の目安: 2001年〜2008年頃
状態・理由:【塗装は要見極め・ひび割れ頻発】
特徴: アスベストを抜いた初期型であり、とにかくあちこちに細かいひび割れや欠けが生じます。表面だけを塗装しても下地の割れを止めることはできないため、劣化が激しい場合は塗装不可となります。
③ セキスイかわらU(積水化学工業)
時期の目安: 1990年〜2013年頃(販売停止)
状態・理由:【完全塗装NG・非常に脆い構造】
特徴: ノンアスベスト屋根の先駆けですが、とにかく強度がありません。屋根の上に上がっただけでバキバキに割れてしまうレベルのため、塗装は不可能であり、カバー工法や葺き替えをご検討いただく代物です。
④ レサス / シルバス(KMEW / 旧・松下電工・クボタ系)
時期の目安: 2001年〜2006年頃(早期に販売終了)
状態・理由:【塗装NG・うろこ状の欠損】
特徴: パミールやコロニアルNEOと同時期に姿を消していった屋根材です。デザインが特殊で、強度が圧倒的に足りず、端部が欠けたり細かなひび割れが頻発します。こちらも塗装での補修は困難です。
4. 国の基準と私たち塗装職人の想い
国がアスベストを規制したことは、職人や施主様の健康を守るために絶対に必要な正しい措置でした。
ただ、メーカーも急な法律への対応に追われ、耐久性のテストが十分にできないまま市場へ製品を供給してしまった結果、最もご苦労をされているのはお住まいのオーナー様たちです。
だからこそ、私たち現場の人間が「ここはパミールだから塗装してはいけない」「この状態なら別の工法をご提案すべきだ」と正しく見極め、無駄な工事でお客様を困らせないことが何よりも大切だと考えております。
5. まとめ
1990年代後半〜2000年代の屋根には、ノンアスベスト移行期の「高リスクな製品」が眠っている可能性が高いため注意が必要です。
パミール、かわらU、レサスなどは物理的に塗装不可であり、カバー工法や葺き替え工事が必要となります。
コロニアルNEOも、状態によっては塗装ができないケースが多く見受けられます。
悪徳業者に「とりあえず塗装できます」と安易に言われてしまわないためにも、ご自宅の屋根材がどれに該当するのかを事前に把握することが一番の防御策となります。







