築10年。「そろそろ外壁塗装ですね」と言われたあなたへ。
ちょっと待ってください。その外壁、本当に今塗る必要がありますか?
「築10年になりました。そろそろ外壁塗装の時期ですよ」
外壁塗装の営業で、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
確かに、昔の外壁では「築10年前後」が一つの目安になることがあります。
でも、今のサイディングは昔とかなり変わってきています。
10年経っているのに、
「えっ、これ10年経ってるん?」
と思うくらい、外壁そのものがきれいな家もあります。
それには理由があります。
最近のサイディングは、かなり進化しています
最近の窯業系サイディングには、
・高耐候の塗膜
・フッ素系などの高耐候コーティング
・光触媒
・親水性によるセルフクリーニング機能
など、外壁を長くきれいに保つための技術が使われています。
雨が降ったときに汚れを流れ落としやすくしたり、紫外線による色あせを抑えたり。
昔のサイディングとは、そもそもの考え方が変わってきています。
だから、
「築10年だから、はい塗装!」
だけで判断するのは、ちょっともったいない。
サイディングは「厚み」も違う
サイディングには14mm、16mm、18mm、21mmなど、さまざまな厚みがあります。
ただし、
「厚い=絶対に高性能」
というわけではありません。
厚みによって施工方法が変わる場合もありますし、外壁材そのものの性能、表面の塗膜やコーティング、施工方法なども関係します。
つまり、
厚みだけ見ても、その外壁の性能は分からない。
ここは大事なところです。
外壁は「板一枚」ではありません
ここからが、ちょっと意外な話です。
外から見ると、
「サイディングの板を貼ってある」
ように見えます。
でも、実際の家の壁はもっと複雑です。
イメージすると、
サイディング
↓
通気層
↓
透湿防水シート
↓
構造体・断熱材
↓
室内側の気密層
というように、いくつもの層でできています。
つまり、
外壁=サイディング
ではありません。
「気密」と「通気」は、実は仲間です
「気密」と聞くと、
「空気を通さないんやろ?」
と思いますよね。
その通り。
でも、家の壁には「通気」も必要です。
室内側では、できるだけすき間をなくして、
冷暖房した空気を逃がしにくくする。
一方、壁の中では、
湿気などを外へ逃がすための通気経路を確保する。
簡単に言えば、
「家の中の空気は逃がしにくく、壁の中の湿気は逃がす。」
この考え方です。
だから、壁の中では空気がちゃんと流れるように考えられています。
下から入った空気が通気層を上へ流れ、湿気を外へ逃がす。
万一、外から水が入り込んだ場合にも、排出するための役割があります。
外壁って、ただ板を貼って終わりじゃないんです。
じゃあ、高性能サイディングなら塗装はいらない?
ここで、
「ほんなら10年経ってもきれいなら、ずっと塗らんでええん?」
となりますよね。
これも違います。
外壁がきれいでも、別のところが劣化していることがあります。
特に俺が気になるのが、
コーキング(シーリング)
です。
高耐候のサイディングでも、目地のシーリングまで同じように長持ちするとは限りません。
外壁はまだきれい。
でも、
コーキングが硬くなっている。
ひび割れている。
痩せている。
切れている。
こんなことがあります。
だから、
「外壁がきれい=何もしなくていい」
でもありません。
新築で建てる人には、最初に確認してほしい
もし、これから家を建てるなら。
サイディングの種類だけじゃなく、
「コーキングは何を使っていますか?」
これも聞いてみてください。
せっかく高耐候のサイディングを選んでも、目地のシーリングが早く劣化すれば、そこからメンテナンスが必要になることがあります。
だから新築の段階で、
「できるだけ耐久性の高いシーリングにできますか?」
と確認しておく。
家は建ててから考えるより、建てる前に考えたほうがいいこともあります。
そして、塗り替えるときに大事なのが「下塗り」
高性能なサイディングを塗り替えるとき、
「上塗りの塗料は何を使いますか?」
と聞く人は多いと思います。
もちろん、それも大事。
でも俺は、
「そのサイディングに、どんな下塗り材を使うのか?」
も同じくらい大事やと思っています。
光触媒。
無機系。
親水性。
特殊な表面処理。
こういったサイディングは、一般的な外壁と同じ感覚で下塗り材を選んでいいとは限りません。
だからメーカーの仕様を確認して、
その外壁に合った下塗り材を選ぶ。
ここが重要です。
じゃあ、どの下塗り材がええの?
ここは、少し専門的な話になります。
国内大手の、
日本ペイント
エスケー化研
関西ペイント
この3メーカーにも、高機能サイディングに対応した下塗り材があります。
ただ、
「一番安いからこれ」
では選びません。
そのサイディングに適しているか。
密着性はどうか。
施工条件はどうか。
必要な塗布量はどれくらいか。
メーカー仕様に沿って施工できるか。
そして、材料費と施工性を含めたときのコストパフォーマンスはどうなのか。
ここまで見て選ぶ必要があります。
価格だけ比べて、
「こっちが安い!」
では、ちょっと違うんです。
「築10年」という数字だけで決めない
ここまで読んでもらったら、分かると思います。
外壁塗装は、
築10年だから塗る。
それだけでは判断できません。
見るのは、
サイディングの種類。
厚み。
表面の状態。
塗膜の劣化。
コーキングの状態。
ひび割れや反り。
そして建物全体の状態。
です。
高性能なサイディングなら、10年経っても外壁そのものがかなりきれいな場合があります。
そんな家を、
「10年経ったから全部塗りましょう」
だけで判断する必要はないと思っています。
家の状態を見て、必要な工事をする
俺が一番伝えたいのは、これです。
「塗ること」が目的になったらアカン。
家を長く守るために、今何が必要なのか。
外壁はまだ大丈夫なのか。
シーリングはどうなのか。
下地に問題はないのか。
塗装するなら、どんな材料と施工方法が合っているのか。
そこを一つずつ見て判断する。
外壁塗装は、ただ色を変える仕事じゃありません。
その家が、これから何年も雨や紫外線から守られるようにする仕事です。
だから俺は、
「10年経ったから塗装しましょう」
ではなく、
「10年経ったから、一度家の状態を見てみましょう」
という考え方が大事やと思っています。
高性能な外壁には、高性能な理由があります。
だからこそ、塗り替えるときも、
その性能をちゃんと理解して、合った材料と方法で施工する。
それが塗装屋の仕事やと思っています。





